第85回独立展

2017年10月18日(水)〜10月30日(月)
国立新美術館

「sweet knot reprise」F200号

【展誌エッセー】

 節目でリセット

大久保 宏美

 自分の絵と向き合うこと、人の絵と向き合うこと、それらを考えることが大切で、つい忘れがちな事柄の中に本当に大事なものがいっぱいあって、そういうものをどんどん置き去りにして一見どうでも良いことばかりを追い求め、それに追い立てられていることに気づかずに走っている人たちに、ちょっと待って、と呼びかける。立ち止まることなく考える余地なく習慣化することの恐ろしさ。人が集まり流されてゆくことの曖昧さ。大切な時間は戻っては来ない。
 若い時は感性だけで突っ走れるかもしれないけれどそのうちそれだけでは進めなくなる。技術や知識の蓄積がモノを言う時が来る。と言い方は違えども今は亡き諸先生が事有る毎に口々に仰っていたこと。先人の尊い教え。突っ走っていた時にはわからなかったこと、その時に受け取ったこと、大事にしてきて良かったと思う。だって今は、わかる。