2012年11月5日(月)〜10日(土)
ギャラリー暁
凝縮し拡大する構造多面体の新鮮イメージ
赤津 侃
大久保宏美は2008年の第76回独立美術協会展で会員に推挙された。1995年頃から注目して凝視してきが、会員後にも螺旋状に進展する画家の一人で、最近では視線の欲望をそそる多面体は、無類の構想力でますます構造化して、想像力のダイナミズムを与える。
「芸術はその時代の子であり、われわれの感情の母である」如く、画家は時代の空気を豊かな知覚で感じ取り、個性的な手技で自己の精神的内景を示し、未来にヴィジョンを創り出してゆく。実在と不在という概念を対置し操作する思考を根本に、形象と色彩を等価値と見て、闊達な線で決定的な相へと昇華させてゆく。そこに確かな存在感と構築性を持った無限増殖するイメージが湧き起こり、多面体が成立する。精妙な色彩の喚起力を駆使し、純化された色彩は沈潜する力に満ち、複雑で錯綜する色面は律動的でしなやかな広がりを持つ。広大な気宇を孕んだ濃密な宇宙空間と凝縮した時間を展開する。画家の内面世界を縫い合わせる如実感をも示し、壮麗でドラマ的な祝祭感も織り成されている。
大久保は知覚体験の不思議さを冷静で静謐の中の多面体に構造化する。その後、作品それ自体が拡大し、鮮烈なイメージが生成される。大久保宏美の果敢な造形冒険で生の高揚感と絵画の楽しさを得て、さらなる地平を拓く期待を持つのである。
( あかつ ただし ・ 美術評論家 )
質問「独立会員になって変わったこと」の答え
常々、絵とじっくり向き合いたいと願い、やろうとしていることや、やったことに対してとやかく言われたくない、と思い、人と競うことも結果を気にすることも嫌い、まわりの期待も負担となり、もっと早く気づいていれば、絵を続けてゆくために公募展はやめていたかもしれない。
何故続けてきたか、「ただしゃくだからだ。」と人に言っていたことも会員になったとたんにすべて忘れて、何ひとつの不満も無かったかのように日々を過ごしている。
副題に寄せて
2000から2012としましたのは、2000年が自分の中での絵描き宣言をした年だからです。絵は早くから発表していたのに、意思表示が遅過ぎます。
やはり若い時から覚悟をした人が先にゆくのだな〜と思いました。
のんびりしずきです。でも変わらずゆっくり進みます。
並べて反省
そんな私のすべてを見透かすように、私を十代から知る尊敬する恩師がつぶやいた一言。「並べて反省するには良い時期だ。」まさにこの個展のコンセプトだ。
( 大久保 宏美 )
【油彩】 | ||
プロペラマンV | F130号 | 2000年 |
イエローセブン | F130号 | 2001年 |
personal order | F130号 | 2002年 |
bloom | F130号 | 2003年 |
スタンダーエース | F130号 | 2005年 |
ゼセッション | F130号 | 2006年 |
グリーンフィールズ | F130号 | 2007年 |
グリーンマスターZ | F130号 | 2008年 |
ROSE GARDEN | F120号 | 2010年 |
パーソナルランディングサイト | F100号 | 2011年 |
パーソナルランディングサイト ーリプライズー | F100号 | 2012年 |
パーソナルランディングサイト | F50号 | 2012年 |
パーソナルランディングサイト | F20号 | 2012年 |
【ドローイング】 | ||
パーソナルランディングサイト(F50)のためのドローイング | 60×41cm | 2011年 |
パーソナルランディングサイトーリプライズーのためのドローイング | 41×54.5cm | 2012年 |
パーソナルランディングサイト(F200)のためのドローイング | 41×30.5cm | 2012年 |
ナビゲーター | 26×21cm | 2012年 |
ペパーミントラビーのためのエスキース | 13×10cm | 2011年 |
パーソナルランディングサイト(F200)のためのエスキース | 11×8.3cm | 2012年 |