「なにかひとつ」「なにかやろう」というときの“なにか”は、何でもいいわけではなく、かなり自分の中で限定しているものだ。
“マイフェイバリットシングス”をテーマに取り組みだした今春以来ずっと、“なにを選ぶか”について思いを巡らせている。
トータリズムに終始する今までの個展からの脱却の意味も含め「何でも有り！」と人には言いながら、常に吟味を重ねてきたのだ。

世界の三大メロディメーカー、リチャードロジャースから学ぶことは、“すべてのコトは歌に救われる”ということだ。
あなたはなにに救われたいか。内容とは裏腹にラテンのリズムで始まる「愛に救われたい」という古い歌があったな。

「サムシング／エニシング」、トッドラングレンの珠玉の小品集２枚組に肖って、展覧会のタイトルを付けた。

2012年6月　大久保宏美